- 磨かれて 初盆を待つ 祖父の靴
(北海道 りこっと) - ローヒール 並ぶ産科の 優しい玄関
(東京都 あさみん) - 半年間 共に歩んで 内々定
すり減ったかかと 満ち足りた気持ち
(大阪府 とれ) - ただいまの 声より先に タッタカタ
遊び帰りの 駆ける靴音
(北海道 たえパパ) - 真っサラの 靴をおろせる タイミング
母のこだわり 大安吉日
(静岡県 mix8753) - 玄関は 家の顔だと 靴揃え
無形の財産 亡き祖父の言葉
(埼玉県 料理本) - 少しずつ 玄関賑わす 靴が減り
空き場に漂う 門出の寂しさ
(島根県 蒼) - あなたの背 越さぬ気配り ローヒール
(京都府 るしふぁ10) - 久々の ヒールをはいて 出かけては
5センチ上の 新たな世界
(大阪府 だらっくま) - 我が息子 自分で出来た 自慢顔
足元見れば ぷっ左右逆
(石川県 DEKO)
- 靴磨く 父の背中の 小ささに
横に座りて 感謝つぶやく
(兵庫県 ひよこ入道) - もう一度 歩ける日待ち 靴を買う
(熊本県 スニーカー) - 危機一髪 安全靴の ありがたさ
(静岡県 春爺) - 滑るなと 靴に祈った 受験の朝
(京都府 ツバメ王子) - 靴、揃え 足音立てて 来る孫に
どんな土産も 勝てやせぬ
(神奈川県 宝物) - 年重ね デザインよりも 履き心地
(愛知県 雪だるま) - 妊娠の 10月10日の 母と子の
命を守る ペタンコの靴
(兵庫県 マッスー) - 靴音に 愛犬はなの 耳が立ち
(福岡県 中野 美紀子) - 学期末 上履き外靴 洗うこと
恩師が伝えた 靴への感謝
(兵庫県 まぐめぐもぐ) - 年老いた 祖母に寄り添い
ゆっくりと 歩く足元 お揃いの靴
(神奈川県 あちと) - 初孫の ファーストシューズ 買いに行く
ばあばの横顔 うれしそう
(大阪府 たろう) - お別れを あともう少しと 先延ばし
修理重ねる お気に入りの靴
(東京都 節黒仙翁) - 子供靴 いつも鞄に しのばせて
娘の退院 願う毎日
(茨城県 おもちゃばこ) - 玄関に おニューの靴を 並べたら
見つけてルンルン 我が子たち
(愛知県 ゆなひ) - 頑張りは 減った靴底 サラリーマン
誰も見ずとも 靴は語れり
(静岡県 オレンジさんさん) - 祭りあと 石畳打つ下駄の音
亡き父親に 背負われた夏
(千葉県 森水) - 待ち合わせ 少し背伸びの ハイヒール
爪先立ちの 初めての恋
(青森県 雨音) - 手ほどきは 親子を結ぶ 靴紐で
(秋田県 えもん) - 気の早さ 生まれた孫へ 靴送る
(北海道 北海道のオヤジ) - どれにしょう? 小さな足に 似合う靴
まだ見ぬあなたに 選ぶ幸せ
(東京都 さややん) - じいちゃんと おそろいサンダル 嬉しいな
そんな一言 寿命がのびる
(兵庫県 海の女) - 秋の日の あぜ道を往く 老夫婦
長靴の影 寄り添いながら
(滋賀県 湖山人) - 就活を 支えた靴を 磨きつつ
思い巡らす 奮闘の日々
(東京都 姫りんご) - はきやすい つま先ほつれ かかとへり
仲良く歩く 笑顔の祖父母
(愛知県 あちゃちゃん) - 幼稚園 遅刻覚悟で 靴を履く
1人で履けて 満開笑顔
(佐賀県 江頭 純子) - 左右逆 何回履いても 左右逆
愛しい我が子の 千鳥足
(福岡県 伊藤 幸佳) - くつだなの 奥にねむりし 子供靴
ちいさかったと いとなつかしむ
(鹿児島県 さち) - 好きな子の 靴を見つけて
うきうきと 教室向かった 初恋時代
(長野県 うりこ) - 小さいと まだ思っていた 我が息子
靴のサイズは 追い越されていく
(石川県 カフェオレ) - 上靴の 汚れのひどさに 驚くも
子の様子を知る バロメーターなり
(愛知県 ギグス) - 悔しくて 泣いて帰った 運動靴
汚れた靴は 練習の証
(静岡県 ちゃんまる) - 入園し 上靴自分で洗うと言う
小さなその手 まだ3歳
(北海道 みのりんこ) - 「爺(ジジ)履ける?」 麻痺で動かぬ
手足見て 靴を揃える 孫の手可愛
(北海道 助川 裕子) - 靴の音 父さん母さん 聴き分ける
(愛媛県 けんふと) - 締め直し 誓う挽回 靴の紐
(兵庫県 行雲) - 雨の中 飛び込み訪問 外回り
息つく食堂 靴も塩ふく
(埼玉県 らくちゃん) - 初対面 おじぎして見た 足もとに
ビビッときました 決めました
(千葉県 タコチュー) - 津波よりともに生還せし古靴を
捨てるに偲びず仮設の玄関に置く
(宮城県 こうちゃん) - 靴ひもを 結ぶ幼手 もどかしく
思った日々は はやむかし
(京都府 肩こり娘) - 今日こそは 値札見ないで ゲットしよ
鼻息荒く ボーナスの朝
(新潟県 flower) - 妻ができ 玄関開けて 並ぶ靴
待つ人のいる 喜びを知る
(大阪府 くまけん) - 思春期の 口きかぬ子の 靴音に
喜怒哀楽を 聞き分ける母
(奈良県 めるも) - 紐結ぶ わが子の横顔 凛々しくて
試合に挑む 決意を見たり
(大阪府 大沢織姫) - 幼子の 入学前夜の 枕元
新し靴置き 夢でまず履く
(福岡県 たっちん) - おさな子の 片方の靴 落ちている
「迎えに来て」 と泣く声がする
(千葉県 亥年のミッキー) - お気に入り 履けば突然ゲリラ雨
胸に抱えて裸足で走る
(神奈川県 若葉) - 春うらら スクランブルの 交差点
靴音弾み 園児賑やか
(大阪府 おじゃすか) - どんどんと 小さくなってく 子供靴
嬉しさ半分 寂しさ半分
(滋賀県 ひろママ) - 坊さんに 靴を磨くも 修行だと 聞いて
息子は スパイク手入れ
(福島県 さねかずら) - 靴選び 前は一人で 決めたのに
今は年頃 娘と選ぶ
(岡山県 猫娘) - いざ外へ 雨を待ってた 長靴が
幼い足元 無敵な笑顔
(栃木県 自転車) - ぴょこぴょこと 歩く息子に 光る靴
心震わす そのいじらしさ
(東京都 椎名 千穂) - 高校の 思い出詰まった 革靴に
涙流れる 卒業の朝
(熊本県 じゃじゃ) - 叱られて 裸足で飛び出し 帰り道
靴を手に持つ 母のお迎え
(京都府 マロンママ) - とりどりの 運動靴が 朝日浴び
ワルツ踊るよ 合宿所の庭
(長崎県 おーちゃん) - 玄関に 並べられた 靴を見て
思い出よぎる 子の成長
(兵庫県 希子) - 記念日に 若きあの頃 思い出す
リズム合わせて 跳ねる靴音
(愛知県 池部 直隆) - 来客の 靴を磨いて 玄関に 揃えて
感謝の 気持ち伝える
(大阪府 畑耕作) - 孫達が 綺麗に並べて 「ありがとう」
新旧靴の 引き継ぎの式
(大分県 別府八湯) - 玄関に ひとつになった 孫の靴
家族がふえた 喜び感じ
(広島県 岡本 道子) - 靴音(あしおと)が 先に伝える
「ただいま」と
(東京都 ピーチン) - 退院の母へ「おかえり」を言いたくて
聞き耳を立て 靴音を待つ
(埼玉県 あこ) - 歩き初め 小さき靴の 第一歩
幼の世界 拓けゆくなり
(東京都 楓香) - 結婚後 長き月日の 時を経て
セルフで磨く 旦那の背中
(神奈川県 バニラリッチ) - 雨の日も 長ぐつあるから 大好きと
傘下に咲く ひまわり笑顔
(北海道 りーまま) - もう少し 頑張れるかと 訊いてみる
定年間近 靴との会話
(北海道 でこぼこ道) - まだ履ける 親指曲げて 強がる子
(熊本県 つくし) - 年流れ 大きくなりし 子供らの
靴を揃えつ 過ぎし日思う
(兵庫県 二人の王子様) - 玄関に 並ぶ小さな 靴たちを
眺めるたびに 笑みこぼれる
(兵庫県 ローズ) - 靴揃え 我が家に上がる フィアンセに
空の父から OKサイン
(東京都 汐海 岬) - 初めての 靴を空へと 投げてみる
この子の明日 天気になあれ
(福岡県 幹爺) - くたびれて 役目を終えた 我が靴に
「ご苦労さま」と 感謝込め
(愛媛県 悦) - 裏を貼り 色を塗り替え 15年
わたしの革靴 からだの一部
(群馬県 ぐいりん) - 靴箱の 隅に置かれた 子供靴
履く子は無いが 捨てられもせず
(熊本県 あきこ) - 脱ぎ方で 家族の気持ち 見える夜
お疲れ様と 靴を揃える
(神奈川県 朝山 ひでこ) - 玄関で 丸く小さく 腰かがめ
靴を揃える 幼子を褒め
(新潟県 ピコ) - いつもより テンポの速い 靴音は
イイコト♪あった 娘のサイン
(兵庫県 あずママ) - そっくりよ 顔や声から 性格も
すり減る靴底 こんなとこまで
(福岡県 まるぺん) - すてきだね 服より靴を ほめられて
やっと私も 一人前
(香川県 まだまだ) - 靴音が 聞こえてきたら
玄関に 家族集まる 父を待ちわび
(長崎県 クジラ) - 靴磨き 最終向かえた 定年日
磨いた数は 妻のまごころ
(大分県 蒼い朱鷺) - 懐かしい 顔ぶれ集う 里の家
あふれる靴は 倍のにぎわい
(埼玉県 日輪草) - 三年間 歩き続けた 通学路
靴にもあげたい 皆勤賞
(広島県 くろっぷ) - 炎天の 陽炎ゆれる 遍路道
靴紐締める 巡礼者
(高知県 265) - お盆には 昨年よりも
ひとまわり 大きくなった 靴集う夏
(新潟県 影虎) - 帰ったら あるか確認 黒い靴
父さんの 大きな靴は 存在感
(東京都 ナッツ) - 玄関に 家族の靴が 揃うまで
灯りと母の 終わらない今日
(東京都 ルーク) - くたびれて 靴にも漂う
中年の 誇り高き 歴戦の後
(神奈川県 黒やん) - 泥靴に 子供の笑顔 感じつつ
心を込めて 洗う母なり
(宮崎県 みち) - 亡き母の つっかけ(サンダル)残る
玄関で 履いて温か 一人涙する
(岩手県 盛りっ子) - 大好きな あの子の汚い 上履きに
チョコを潜めた 十五の私
(大阪府 かんんママ) - 捨てられず 大きくなる度 増える靴
下駄箱の中は 大家族
(千葉県 だいだい) - 運動会 最後はいつも 靴頼み
(東京都 はるまき) - 今日もまた 靴の中から 砂の雨
元気いっぱい 遊んだ証し
(静岡県 ぼんじょるの) - 帰省して 次々集まる 玄関は
にぎわう靴の ドレミファソラシド
(茨城県 舟橋 優香) - 靴底が 減れば減るほど
人生は 足跡ながく 思い出ふかく
(東京都 佐藤 美佳子) - 母の靴 ヒールの高さに あこがれて
かくれて履いた 幼い日
(福岡県 さくさく) - 病院で 皆の靴をも 揃える児(こ)
「かみさまママが なおりますように」
(愛知県 松庵) - ドロまみれ 部活の厳しさ 靴で知る
(兵庫県 いちご) - 気に入った 靴を片手に
よちよちと 歩く姿に 心が和む
(兵庫県 みさ)